にのだん社会保険労務士事務所

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にのだん社会保険労務士事務所だより「たすき」令和5年7月号(No.44)

【①変形労働時間制に関する裁判について】

 先日、大手ハンバーガーチェーン(以降、М)と元社員との間で争われていた「1ヵ月単位変形労働時間制」に関する控訴審判決について、М側に未払い賃金支払いを命じた一審判決が支持される結果となりました。今回、М側が就業規則で定めていた「1ヵ月単位変形労働時間制」が無効と判断されたポイントは何なのかお伝えしたいと思います。

 1ヵ月単位変形労働時間制とは、1日毎の労働時間を事前に設定(やむを得ない事由を除いて変更は不可)のうえ1ヵ月の変形期間における総労働時間が28日の月なら160時間以内、30日の月なら171時間以内、31日の月なら177時間以内に収まるのであれば、1週間あたりの平均労働時間は原則で定められている40時間以内となり、事前に設定していた1日の労働時間が原則の8時間を超える10時間であっても、残業代の支払いが不要となるので、会社側にとってメリットとなります。また従業員も事前に予定が組まれているので、労働時間と自由時間のオンオフが明確になり、柔軟的な働き方が出来るメリットがあります。

 しかし、今回Мの就業規則では勤務シフトが4パターンしか示されておらず、実際の労働者の勤務シフトと乖離している点を指摘されたとのことでした。会社側は事前に勤務シフト表を示していたと思いますが、今回の判決は会社のルールである就業規則に実際のシフトに沿った勤務時間パターンを具体的に載せなければならないという、会社側にとって非常に厳しい原理原則的な判断が示された変形労働時間制に関する判例であると感じます。

【②算定基礎届作成チェックリスト】

 7月10日までに提出しなければならない社会保険算定基礎届ですが、届書内容が誤ってしまう可能性があるケースを想定したチェックリストを作成しました。算定基礎届は年に一度の被保険者の社会保険料を確定させる大変重要な手続きです。正しく申請して頂けるようこのチェックリストをぜひともご活用下さい。

   ①4月5月6月に支払われた金額がそのまま記載されているか?
②記載された金額に本来4月5月6月支払に関係のない遡及された金額が含まれていないか?(含まれていれば、その分を控除して算出)
③4月5月6月支払の中で一部でも支払いが7月以降に遅れてしまう月がないか?(ある場合はその月を除いた残りの月で平均を算出)
④基礎日数の記載について、パート(時給)の人は勤務日数、正社員 で欠勤のある人は月所定労働日数から欠勤日数を引いた日数を記載しているか?(17日未満の月があれば、その月を除いて算出)
⑤4月5月6月ともに17日未満であっても週労働時間40時間未満の被保険者は算定基礎届備考欄のパートに〇をした上で、いずれかの月で15日以上ある月は、その月で平均を算出しているか? (注意:いずれかの月で17日以上あれば、17日以上の月のみで算出)
⑥適用拡大事業所など週20時間以上の勤務でも短時間被保険者の登録がされている被保険者は算定基礎届備考欄の短時間労働者に〇をした上で11日以上の月全てを平均に含んで算出しているか?
⑦雇用形態に関わらず、4月5月6月支払に関して締日の途中で入社(例えば20日締め当月末支払いの会社で4月1日入社に伴う4月支払が日割り計算で通常より少ない)場合4月は除いて算出しているか?
⑧4月支払で昇給や降級、固定的賃金に変動があり、比例的に3ヵ月平均で算出される標準報酬月額が従前に比べて2等級以上変動プラス いずれの月も基礎日数17日以上の場合、算定基礎届ではなく、7月改定の月額変更届を提出しているか?
⑨⑧上記のような条件で8月または9月改定の月額変更届提出対象となった場合、算定基礎届備考欄の月額変更予定に〇をしているか?
⑩固定的賃金の変動のみならず、4~6月支払で雇用形態が変更になった場合、月額変更届提出対象者になるかどうか確認しているか?
~最後までお読みいただきありがとうございました~